要旨

ヒューストン総合がんセンターが、バイオシミラー製品の評価と導入のための標準的なアプローチを開発

論文題名: Navigating uncharted waters: Developing a standardized approach for evaluating and implementing biosimilar products at a comprehensive cancer center(未知なる世界を切り開くために:総合がんセンターにおけるバイオシミラー製品の評価と導入のための標準的なアプローチの開発)

引用文献: Villanueva MN et al. Am J Health Syst Pharm 2021;78:249–60

出版日: 2020年12月

要旨出版日:2021年8月
バイオシミラーの評価と同化のための標準的なアプローチを開発することで、既存のワークフローへの統合を効率化することができる。ある総合がんセンターが、バイオシミラーの状況を把握できるよう導き、バイオシミラーへの移行を支援し、他の施設が指針として使えるような実践的な考察を紹介している。

バイオシミラーとは、臨床的に意味のある差がなく、基準製品に極めて類似した生物学的製剤のことであり、バイオ製剤価格競争・インベーション法(BPCIA:The Biologics Price Competition and Innovation Act)の批准により、米国市場への参入が認められた。このような安価な医薬品へのアクセスは、米国における総医薬品支出を10年間で240億ドルから1,500億の範囲で削減し、生物学的製剤の総支出も、それに伴って約3%縮小すると予想されていた。しかし実際には、バイオシミラーの使用量は生物製剤全体の3分の1にも満たない。

がん患者に対しては、医療機関は、治癒目的よりも緩和や支持療法にバイオシミラーを使用することに前向きである。がん領域のバイオシミラーの普及を阻む要因としては、安全性や有効性に対する処方者の懸念、価格や契約の問題、代替性や互換性に関する法規制などが考えられる。これらの障壁は、切り替え試験に関する処方者への教育の充実、代替品に関する米国食品医薬品局(FDA)の明確なガイダンス、フォーミュラリーポリシーの刷新を通して効果的に克服できる可能性がある。また、実践的な観点からは、運用面でのバイオシミラーへの移行に、時間的、金銭的投資を惜しまないことが求められる。

上記の理由から、テキサス州ヒューストンにある総合がんセンターが、バイオシミラーの導入を選択したことで学んだ戦略、課題、教訓を報告している。

このがんセンターでフォーミュラリー追加目的で評価された最初のバイオシミラーは、造血成長因子であるフィルグラスチム-sndzだった。予備評価では不採用に終わったものの、その後、医療費の払い手の方針変更とコスト削減機会の拡大、市販後安全性データの発表が重なったことを機に再評価が行われ、基準生物製剤のフォーミュラリー削除と同時に、バイオシミラーの完全導入が行われた。このプロセスにおけるフォーミュラリーの見直しは、以下のステップで行われた。まず、費用、適用範囲、アクセスを評価し、次に、依頼した医師、薬局、P&T委員会、購買担当者を巻き込み、バイオシミラーの使用に向けたフォーミュラリーの準備が行われた。

この方法で、がんセンターは、効果的なタイムラインでバイオシミラーへの移行を実現させた。

重要なポイント

トラスツズマブは、HER2を発現しているがんに対するゴールドスタンダードの治療薬だが、iが伴う。安全性や有効性に対する懸念、価格や契約の問題、代替品や互換性に関する法規制など、治療におけるがん領域のバイオシミラーの使用拡大には、多くの障壁がある。切り替え試験に関する処方者への教育の改善、代替に関する米国食品医薬品局(FDA)の明確なガイダンス、フォーミュラリーポリシーの刷新が、これらの障壁を克服し、バイオシミラー導入への移行開始に役立つかもしれない。