要旨

医療従事者のバイオシミラーに対する理解を深めることが、バイオシミラー導入の鍵となる

論文題名: Pharmacist perspectives and considerations for implementation of therapeutic oncology biosimilars in practice(治療用がん領域バイオシミラーの導入にあたっての薬剤師の視点と検討事項)

引用文献: Cuellar S et al. Am J Health Syst Pharm 2019;76:1725–38

出版日: 2019年10月

要旨出版日:2021年8月
フォーミュラリーに追加できるバイオシミラー医薬品があふれる中、がん領域での採用にあたって最も有益な検討事項は何か?

2009年に米国議会で可決された「バイオ製剤価格競争・インベーション法(BPCIA:The Biologics Price Competition and Innovation Act)」は、バイオシミラーの簡略化された承認プロセスを可能にし、以来、数多くのバイオシミラーが発売され、免疫療法あるいは標的療法の抗がん剤治療や、がん領域での支持療法に幅広い選択肢を提供してきた。

新規の生物学的療法にかかった総支出は、2020年に680億ドルと推定されている。一方、バイオシミラーは、承認と製造プロセスがシンプルで迅速なため、今後10年間で、生物学的製剤の総直接費用を540億ドル削減すると予測されている。費用削減は、医学界におけるバイオシミラー使用に対する信頼性や患者の受容性など、価格競争以外の複数の要因に左右される。

バイオシミラーの開発には、構造と機能の分析と臨床試験が必要だが、必要な臨床試験の数と範囲は、オリジネーターの生物学的製剤に規定されたものよりも少ない。臨床類似性試験では、バイオシミラー候補品とオリジネーターの生物学的製剤との間に、有効性、安全性、免疫原性の点で臨床的に意味のある違いがないことを確認する。切り替え試験では、互換性、つまり、バイオシミラーが、有益な効果を損なうことなく、オリジネーター生物学的製剤の代わりに処方できるというエビデンスを証明する。一旦臨床使用が承認されると、バイオシミラーの市販後の安全性は厳しくモニターされるが、バイオシミラーと基準となる生物学的製剤で報告された有害事象を区別するために、適切なメカニズムの下で行われる必要がある。

P&T委員会は、フォーミュラリーで検討される適応症が、総体としてのエビデンスによって正当化されているか検討しなければならない。P&T委員会は、バイオシミラーの臨床試験に含まれる高感度集団に関するすべてのデータを評価し、意図した集団への外挿を裏付けているかどうかを審査しなければならない。また、医薬品の調達費用に加えて、病院のインフラを考慮することも重要であり、これらを含めて、バイオシミラーの完全なフォーミュラリーへの追加を裏付けているかを審査する。最後に、バイオシミラーの実際の導入における課題は克服しなければならないが、多くの場合、医療従事者と患者への教育が必要となる。薬剤師は、バイオシミラーがフォーミュラリーに追加され、それによってがん患者の治療の選択肢を増やすために、重要な役割を担う。

重要なポイント

バイオシミラーには、バイオシミラー候補品とそのオリジネーター生物学的製剤との間に、有効性、安全性、免疫原性の点で臨床的に意味のある差がないことが求められ、市販後の安全性モニタリングも厳しく行われる。バイオシミラーが普及するための課題としては、薬剤費やインフラ費用、医療従事者や患者への教育などが挙げられる。