要旨

バイオシミラーには、がんと血液内科関連医療における幹細胞移植に関わる経費を低減する可能性がある

論文題名: Worldwide Network for Blood and Marrow Transplantation (WBMT) perspective: the role of biosimilars in hematopoietic cell transplant: current opportunities and challenges in low- and lower-middle income countries

引用文献: Muhsen IN et al. Bone Marrow Transplant 2020;55:698–707

出版日: 2019年9月

造血細胞移植(HCT)は高価な治療法であり、移植プログラムの開発は、発展途上国においては特に困難である。

造血細胞移植を必要とするがんや血液疾患の患者にとって、高額な薬剤費(主に抗生物質や成長因子型の生物学的製剤に関連)は、世界的に医療アクセスの障壁となっていることが知られている。生物学的製剤の特許が切れると、バイオシミラーが医薬品市場に参入し、これらの治療法に関連する高額な経費の削減に貢献する可能性がある。

バイオシミラーとは、参照生物学的製剤の化学的類似品で、臨床的に有意な差のないものを指す。バイオシミラーの規制当局の承認は、分析的検証試験および前臨床試験と臨床試験に基づいており、通常、オリジネーターの生物製剤に対する第III相無作為化比較試験が含まれる。

世界造血細胞移植ネットワーク(WBMT:Worldwide Network for Blood & Marrow Transplantation)は、最近のHCT活動の高い増加率にもかかわらず、東地中海やアフリカ地域などの低所得国で活動している移植チームはわずか2%であると報告している。ラテンアメリカでは、ヨーロッパや北米に比べ、HCTの頻度が20~40倍低く、資金的な制限が制約の要因となっていると推察される。こうした事実は、資金が限られた国において、HCTの経費削減に向けた効果的な戦略の実施が急務であることを強調している。

HCTの分野で使用されるバイオシミラーには、幹細胞動員用の顆粒球コロニー刺激因子製剤(G-CSF製剤)、移植片対宿主病(GVHD)用のリツキシマブ、そしておそらく小児GVHD用のインフリキシマブとエタネルセプトが含まれる。報告されている研究のメタ分析のほとんどで、バイオシミラーとオリジネーターの生物学的製剤の間で有効性に有意差はなく、コスト分析が含まれる場合、バイオシミラーでの経費削減が指摘されている。

重要なポイント

バイオシミラーは、発展途上国において経費を大幅に削減することが示されている。2024年までに、バイオシミラーのG-CSFと抗悪性腫瘍剤の使用による10%の経費削減が見込まれる。バイオシミラーの認知度を上げるための責任の大部分は、政府、規制当局、地域社会にある。バイオシミラーの利点に焦点を当てることは、HCTを専門とする専門機関、特に低所得国の専門家の教育にとって重要な任務である。