要旨

がん領域におけるバイオシミラーの現状と今後の役割 – 欧州と米国での10年の経験から得られたエビデンス

論文題名: Current and future roles of biosimilars in oncology practice

引用文献: Konstantinidou S et al. Oncol Lett 2020;19:45–51

出版日: 2020年1月

認可されたバイオシミラーは、厳格な規制の枠組みと綿密な市販後調査対象となっているにもかかわらず、実際の現場ではまだ十分に使用されていない。

生物学的製剤は、がん領域の医薬品市場の半分を占めるが、高額であることが最大の難点である。バイオシミラーは、新しい治療法へのアクセスを向上させ、医療費を削減するという二つを目標に、より安価な代替品として開発された。

バイオシミラーは、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)により、「安全性、純度、力価において、既存の承認された参照製品と臨床的に有意差がない、高度に類似した生物学的製剤」と定義されている。バイオシミラーは参照生物学的製剤と同一ではないため、その生物学的類似性は、薬物動態学的・薬力学的試験によるエビデンスによって証明されなければならない。承認されたバイオシミラーは、信頼できる科学的データと臨床試験での実証という厳しい要件を満たしているが、これらの薬剤に関する知識は不足しており、バイオシミラーについて説明できるオンコロジストは全体の4分の1、コンセプトを知っている処方医は5分の1であると報告されている。

生物学的製剤の特許が切れると、より多くのバイオシミラーが抗がん剤市場に参入することになる。バイオシミラーと参照製品の分子構造、不純物、投与経路、保管状態など、わずかな違いでも副作用を引き起こす可能性があり、バイオシミラーの使用に関するがん臨床医の最大の関心事は、免疫原性のリスクである。承認されたすべての生物学的製剤とバイオシミラーにはファーマコビジランスと市販後安全性監視活動が義務付けられており、長期的には、これらの活動の継続が心配を払拭するのに役立つはずである。

バイオシミラーは、医療制度にとって極めて重要な経費の削減をもたらす。6種類の特許切れ生物学的製剤の価格が20%下がれば、数十億ユーロの節約になると試算されており、バイオシミラーが普及すれば、患者はより多くの治療法にアクセスできるようになる。しかし、将来的なバイオシミラーの価格は、参照生物学的製剤の価格や市場競争にも左右される。

がん患者にとって、バイオシミラーは、参照生物製剤と比較して安全性と毒性プロファイルが類似し臨床的に有意差がない、より手頃な価格の医薬品である。現在、バイオシミラーが十分に使用されていないのは、患者や臨床医の間で、この重要な薬剤の利点や課題に対する認識が不足していることに起因していると考えられる。バイオシミラーを通常のがん治療に取り入れるために、医療従事者はもちろん、一般の人々も含め、バイオシミラーの様々な側面について適切に教育される必要がある。

重要なポイント

バイオシミラーに関する医療従事者の知識は、不足している。日々のがん治療におけるバイオシミラーの導入を成功させるために、バイオシミラーの安全性と有効性のあらゆる側面を網羅する教育の機会を増やす必要がある。