要旨

バイオシミラーのより効果的な上市を求める最新のポリシーレビュー

論文題名: Improving oncology biosimilar launches in the EU, the USA, and Japan: an updated Policy Review from the Southern Network on Adverse Reactions(EU、米国、日本における、がん領域のバイオシミラーの上市を改善するために。副作用に関する南部ネットワークからの最新ポリシーレビュー)

引用文献: Bennett CL et al. Lancet Oncol 2020;21:e575–88

出版日: 2020年12月

要旨出版日:2021年8月
現在、抗がん剤の新規承認のほぼ三分の一が生物製剤であり、そのほとんどがバイオシミラーである。このような状況を踏まえ、The Lancet Oncology誌に掲載された最新のポリシーレビューで、新規バイオシミラーの市場参入に関する潜在的な障壁を分析し、これを克服するための方法を提案している。

生物学的製剤が特許権を失うと、バイオシミラーの普及が一気に進む。しかし、バイオシミラーが利用可能になって以来、品質への懸念から、当初、欧州医薬庁(EMA)では新規承認申請の10件に1件近くが却下され、 米国食品医薬品局(FDA)では、半数近く(44%)が却下された。日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、申請数が各段に少ないが、これまでに一件も却下されていない。

EU(欧州連合)では、規制のガイドラインやリスク許容度が米国よりも高く、米国は、特に適応症の外挿、つまり、バイオシミラーを、オリジナルの生物学的製剤と同じ適応症に対して承認することに対し、厳しい基準を設けている。この制限は、明らかにバイオシミラーの市場競争を妨げており、連邦法によって対処されるべきである。また、米国では、バイオシミラー製品が互換性の指定を受けていないため、バイオシミラーを薬局レベルで代替して処方することはできない。EUでは自動代替が普及しているにもかかわらず、日本では自動代替が禁止されており、日本でも、EUに追随して自由化をすすめることが望まれる。

米国では、特許権侵害訴訟によって、承認されたバイオシミラーであっても販売が妨げられる可能性があるが、EUや日本では、この傾向は顕著には見られない。特許訴訟を減らすための一つのアドバイスは、当事者系レビュー(Inter Partes Review)による和解で、数百万ドルの訴訟費用に対し、数十万ドルで済む。

バイオシミラーの安全性や有効性が、基準となる生物製剤に比べて低いという誤解は、バイオシミラーの市場導入を妨げることが知られている。生物製剤メーカーによる誤解を招くような情報の流布など、反競争的な行動の抑制や、米国臨床腫瘍学会(ASCO)、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)、日本の厚生労働省といった影響力のある機関が、バイオシミラーに関する、偏りがなく、専門的で、社会的な教育のアウトプットを増加させることに、さらなる努力の的を絞ることが必要である。

EU、米国、日本において、医療制度によって定められるバイオシミラーの価格は異なる。各地域でのオリジネーター生物学的製剤価格に対する割引率は、概ね10〜30%程度である。しかし、リベートやフォーミュラリー上の優先順位により、生物学的製剤は、最も安価な選択肢となることが多い。バイオシミラーの競争力と購入しやすさを向上させるためには、費用対効果の増分決定や、遅延損害金制度の最小化、価格協定の透明化といった取り組みが、これまで以上に必要となる。

重要なポイント

バイオシミラーの安全性と有効性に関する誤った情報や誤解に対する早急な対処が求められる一方、製薬会社による反競争的な行為が、抑制されなければならない。バイオシミラーの競争力と購入しやすさを向上させるには、価格設定、リベート、費用対効果の判断を透明化する必要がある。