Abstract

バイオシミラーの可用性確保のポイントは、医療従事者の信頼である

論文題名: A narrative review of biosimilars: a continued journey from the scientific evidence to practice implementation

引用文献: Garcia JJ et al. Transl Lung Cancer Res 2020;9:2113–9

出版日: 2020年10月

近年の生物学的製剤の高価格と使用量増加を考慮すると、バイオシミラーの承認経路は、40年前にジェネリック医薬品が初めて導入された現象と呼応している。

1970年代に最もシンプルな形態の生物学的製剤(血液製剤とワクチン)が米国市場に登場して以来、1982年に遺伝子組み換えヒトインスリン、1997年に初めて米国食品医薬品局(FDA)が承認したモノクローナル抗体と、生物学的製剤は、深刻な病状の治療に変革をもたらす一方で、医療費全体の費用を急激に増大させた。

2009年、「生物学的医薬品価格競争と革新法(BPCI:Biologics Price Competition and Innovation Act)」が可決され、バイオシミラーの米国食品医薬品局による承認経路を短縮し、開発者が可能な限り低い価格でバイオシミラーを市場に投入することが可能になった。2015年に米国で最初のバイオシミラーであるフィルグラスチム-sndzが承認され、続いて、様々な病状に対する多くのバイオシミラーが承認された。

バイオシミラーは、最終的な治療用タンパク質から始めて合成のステップを遡るいう、リバースエンジニアリングに従って製造される。他の生物学的製剤と同様、生体系(細胞株)で作られるバイオシミラーは、アミノ酸配列は同じであることが要求されるが、参照製品の完全なコピーではない。開発と承認の過程で、バイオシミラーは、その小さな分子的差異が有効性と安全性に影響を与えないこと(すなわち、「臨床的に有意」ではないこと)を証明しなければならない。このため、バイオシミラーの承認経路は、臨床評価で補完されるが、オリジネーター製剤と比較した物理的特性の分析的研究に主として焦点が充てられる。

バイオシミラーには特許の独占権が認められておらず、使用可能な同じ参照製品のバイオシミラー版が複数存在する。例えば、米国食品医薬品局承認済のトラスツズマブのバイオシミラーは、6種類存在する。今後、より多くの製品が市場に投入されることで、その有効性と安全性に対する医療従事者の信頼がさらに必要なるであろう。医療費が上昇し続け、生物学的製剤が最も高価な医薬品カテゴリーを占める状況で、付加価値の高いバイオシミラーの出現は、持続が困難な市場において解決の糸口となる可能性がある。医療従事者は、バイオシミラーを治療の選択肢とすべく、そのエビデンス評価に真剣に取り組む必要がある。

重要なポイント

バイオシミラーには承認時の独占権が認められず、ひとつの生物学的製剤に対して複数のバイオシミラーが存在する可能性がある。医療従事者は、市販される各バイオシミラーの有効性と安全性を信頼する必要があり、価値の高いバイオシミラーの数が増えれば、医療費全体の削減につながるであろう。