要旨

米国食品医薬品局(FDA)が承認した5種類のトラスツズマブのバイオシミラーには、経費を削減し、使用率を向上させ、乳がんと胃がん患者のHER2標的治療へのアクセスを可能にする

論文題名: Biosimilars for breast cancer: a review of HER2-targeted antibodies in the United States

引用文献: Miller EM & Schwartzberg LS. Ther Adv Med Oncol 2019;11:1–9

出版日: 2019年11月

この数年間にトラスツズマブ(Herceptin®)の新しいバイオシミラー5種類が、、厳格な試験を受け、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た。しかし、当初、オリジネーターとの特許問題から上市は見送られていた。多数の選択肢が使用可能となったが、トラスツズマブ・バイオシミラーが普及するかどうかは、医療従事者がその安全性と有効性に関するエビデンスにどの程度納得できるかにかかっていると考えられる。

トラスツズマブ(Herceptin®)は、HER2を過剰発現している早期および転移性乳がんの治療薬として米国で承認されている。しかし、年間少なくとも7万ドルという高額な費用は、患者のアクセスを妨げる要因となっている。トラスツズマブを含むバイオシミラーは、承認プロセスが短縮されているため、オリジナルの医薬品に比べ低価格で医療市場に参入できる可能性がある。したがって、バイオシミラー・トラスツズマブは、この治療法の利用を拡大する機会を患者に提供することができる。

米国食品医薬品局(FDA)は、トラスツズマブ・バイオシミラーの構造的・機能的類似性、オリジネーター製剤と同等の薬理学的特性および有効性に関するエビデンスに基づき、現在までに5つのトラスツズマブ・バイオシミラーを複数の適応症に対して承認している。このバイオシミラーの第1弾であるトラスツズマブ-tkst(Ogivri®)で、HER2陽性の転移性乳がんを対象とした第3相試験で臨床評価が行われた。このバイオシミラーと化学療法を併用した場合の全奏功率(ORR)は、トラスツズマブの64%に対し、69.9%であった。トラスツズマブ-tkstは、2017年、FDAの承認を受けた。その後、さらに4種類のトラスツズマブ・バイオシミラー、すなわちトラスツズマブ-pkrb(Herzuma®、2018年承認)、トラスツズマブ-dttb(Ontruzant®、2019年)、トラスツズマブ-qyyp(Trazimera®、2019年)、トラスツズマブ-anns(Kanjinti®、2019年)が、いずれもHER2陽性乳がんを対象とした第III相試験で評価され、オリジネーターのトラスツズマブで得られたものと同等の奏効率および生存エンドポイントを示した。さらに、有害事象の発生率は、すべての試験においてバイオシミラーとトラスツズマブで同程度であった。

バイオシミラーのエビデンスレベルに関する誤解が、これらの薬剤の利用における障壁となっている可能性がある。バイオシミラーの承認プロセスで最も馴染みのない概念は、オリジネーターの生物学的製剤で試験され、バイオシミラーでは試験されなかった適応症の外挿と考えられる。しかし、生物学的類似性に基づく外挿を正当化する科学的エビデンスは、すべての承認済み製品で入手可能である。トラスツズマブの安全性と有効性は、早期・転移性乳がんおよび転移性胃がんに対して確立されている。トラスツズマブ・バイオシミラーは、エビデンス総体に基づき、同様の適応症で承認されている。これらのバイオシミラーの普及は、その信頼度のレベルに比例すると思われる。

重要なポイント

トラスツズマブのバイオシミラーは、参照製品との生物学的類似性を示すエビデンス総体に基づいて承認されている。バイオシミラーの普及は、バイオシミラーの有効性と安全性に関する教育によって改善される信頼性のレベルに比例すると考えられる。