要旨

トラスツズマブのバイオシミラーABP 980は、乳がんや胃がんの患者に新たな治療選択肢を提供する

論文題名: Totality of Scientific Evidence in the Development of ABP 980, a Biosimilar to Trastuzumab

引用文献: Kolberg H-C et al. Target Oncol 2019;14:647–56

出版日: 2019年10月

ABP 980の試験と承認経路は、安全かつ有効な新規バイオシミラーの加速開発プログラムモデルを提供する。

バイオシミラーは、重要な生物学的治療に対する患者のアクセスを改善する可能性があることから、オリジネーター参照製品の代替品として関心が高まっている。ABP 980は、トラスツズマブ(Herceptin)のバイオシミラーである。ABP980は、トラスツズマブと同様に、乳がんや胃がんなどでHER2受容体を過剰発現しているがん細胞を標的として、治療効果を発揮する。ABP 980は、EU、米国、日本において、トラスツズマブ参照品と同じ適応症、投与量、投与経路で承認されている。

開発中、ABP 980は、最先端技術を用いた包括的な分析特性評価を受けた。その結果、ABP 980は、トラスツズマブ参照品と構造的・機能的に極めて類似しており、両者間のわずかな差異は、生物学的活性や臨床性能に影響を与えないことが予想されることが示された。健常者を対象とした第I相薬理試験において、ABP 980はトラスツズマブ参照品と同等の薬物動態特性を有することが確認された。

LILAC試験では、感度の高い患者層とされるHER2陽性の早期乳がん患者を対象に、臨床的類似性が評価された。プライマリーエンドポイントである病理学的完全奏効は、ABP 980投与群48%、トラスツズマブ参照品投与群41%で、両群間における非劣性が示された。この試験で、ABP 980とトラスツズマブ参照品の臨床的な類似性が確認された。また、安全性と免疫原性でも、同等性が示された。ABP 980のエビデンス総体は、この製剤の作用機序(HER2を介した増殖の阻害)は異なるがん細胞に対して同じであることを根拠として、トラスツズマブ参照品で承認されるすべての適応症への外挿に関する科学的正当性を裏付けた。ABP 980は、乳がんや胃がんの患者に新たな治療選択肢を提供する。

重要なポイント

バイオシミラーであるABP 980は、そのトラスツズマブ参照品と比較して、構造的・機能的に類似した特性を示すとともに、臨床試験で非劣性を実証している。これは、乳がんや胃がんの治療法が増え、患者のアクセスが向上することを意味する。