要旨

バイオシミラーは、がん治療において不可欠な存在になる

論文題名: Are Biosimilars the Future of Oncology and Haematology?

引用文献: Zinzani PL et al. Drugs 2019;79:1609–24

出版日: 2019年10月

腫瘍学と血液学の治療薬の将来を展望するレビューは、バイオシミラーのこの分野での存在感が強くなってきていると強調している。これらの薬剤ががん医療に与えるインパクトは、その普及における課題を克服できれば、大きなものとなるであろう。

生物薬品(生物学的製剤)は、進行性の固形がんや血液悪性腫瘍の治療の要となるものである。しかし、構造的に複雑で開発・製造コストが高く、生物学的製剤の治療費は高止まりしている。様々な抗がん剤の特許が切れたことにより、バイオシミラー(高度に類似した生物学的製剤)の開発が可能となり、規制当局から承認されるようになった。バイオシミラーは、承認経路が簡略化されており、開発コストが低いため、通常、市販後の薬価が割安である。

欧州医薬品庁(EMA)と米国食品医薬品(FDA)は、バイオシミラー候補品とその参照製品の同等性を確立するために段階的アプローチをとっており、様々な分析試験、前臨床試験、臨床試験が実施される。これらの試験により、バイオシミラーの薬物動態および有効性が参照製品と統計的に同等(または非劣性)であること、そして安全性、薬力学および免疫原性に差がないことが確認される。これらすべての調査から得られたエビデンス総体が、バイオシミラーとオリジネーターとの間に臨床的に有意差がないことを示す場合、規制当局はバイオシミラーを承認する。外挿は、オリジネーターの生物学的製剤が有する追加の適応症に対する認可で、科学的正当性を示すエビデンスがある場合、規制当局によって考慮されることがある。例えば、抗CD20抗体リツキシマブの作用機序は、この表面タンパクを発現するB細胞の溶解であることから、欧州医薬品庁(EMA)は、リツキシマブのバイオシミラーCT-P10が他のCD20陽性がんに対しても治療効果を発揮するとの見解の下、これらの適応症を外挿した。

現在までに、がん治療用として承認されたバイオシミラーは、一般的にオリジネーターが有するすべての適応症について承認されている。また、並行した検討の結果、慢性的な患者についても、治療成績に影響を与えることなく生物製剤からバイオシミラーへ切り替えることが、互換性に関する国や地域の規制という条件はあるが、より広く受け入れられるようになっている。ただし、切り替えに関する決定は、医師が主導すべきである。この分野でのさらなるデータ収集が強く望まれる。

新しいバイオシミラーが利用可能になり、直接的な経費削減の可能性だけでなく、代替となる生物学的製剤/バイオシミラーの選択肢間の競争が活性化し、価格を押し下げ、こうした重要な治療に対する患者のアクセスが向上されることが期待される。バイオシミラーの効果を最大限に発揮させるためには、バイオシミラーの市場化と普及を阻む障壁に対処しなければならない。

重要なポイント

バイオシミラーの簡素化された承認経路は、市場価格の低減につながっている。がん治療用として承認されたバイオシミラーは、通常、オリジネーター製品が有するすべての適応症で承認されており、直接的な経費削減や生物学的製剤/バイオシミラーの選択肢間の競争の活性化が期待される。バイオシミラーの市場シェアを拡大するためには、現在の導入における障壁に対処する必要がある。