Abstract

イランの第III相試験で、転移性大腸がんに対するベバシズマブ・バイオシミラーが試験に成功

論文題名: Efficacy and Safety of Proposed Bevacizumab Biosimilar BE1040V in Patients With Metastatic Colorectal Cancer: A Phase III, Randomized, Double-blind, Noninferiority Clinical Trial

引用文献: Rezvani H et al. Clin Ther 2020;42:848–59

出版日: 2020年4月

大腸がん(CRC)は、スクリーニング検査が存在するが、患者の多くは症状が出てから診断され、病状も進行している。生物学的製剤は、大腸がんのような重篤な疾患の治療に不可欠だが、経済的負担が大きい。BE1040Vは、治療へのアクセスを向上させ、大腸がんによる死亡率を減少させることを目的として開発された、ベバシズマブのバイオシミラーである。

転移性大腸がん(mCRC)は、世界のがん死亡原因の第2位であり、5年生存率は約14%である。切除不可能な場合、第1選択として、化学療法と血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とした生物学的製剤(例:ベバシズマブ)の併用による全身療法が選択される場合がある。本第III相無作為化試験は、ベバシズマブ・バイオシミラーBE1040Vと参照製品の有効性、安全性および免疫原性の評価を目的として、イランの22施設で転移性大腸がん患者を対象に実施された。

研究結果

BE1040Vまたはベバシズマブによる治療後、プライマリーエンドポイントである無増悪生存期間(PFS)はそれぞれ7.7カ月、7カ月であり、BE1040Vとベバシズマブの間の非劣性が示唆された。有害事象および全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、治療失敗までの期間(TTF)を含むセカンダリーエンドポイントについては、グループ間で有意差は認められなかった。抗薬物抗体の発現は2例(各治療群1例)のみであった。

BE1040Vと参照ベバシズマブとの間で、PFS、OS、ORR、TTF、安全性、免疫原性において、統計的に有意な差は認められなかった。本試験では、BE1040Vは転移性大腸がん患者において、参照ベバシズマブに対して有効性で劣らず、同等の忍容性を有すると結論づけられた。

重要なポイント

ベバシズマブのバイオシミラーであるBE1040Vは、転移性大腸がん患者を対象に実施された多施設共同無作為化試験において、安全性および有効性がオリジネーターとの比較で有意差がないことが確認された。

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