Abstract

ABP 980バイオシミラーの効果を参照トラスツズマブと比較する同等性試験で、ネオアジュバント設定のHER2陽性早期乳がん患者において、同等の病理学的奏効率が示された

論文題名: Efficacy and safety of ABP 980 compared with reference trastuzumab in women with HER2-positive early breast cancer (LILAC study): a randomised, double-blind, phase 3 trial

引用文献: von Minckwitz G et al. Lancet Oncol 2018;19:987–98

出版日: 2018年7月

HER2陽性の早期乳がんに対するネオアジュバント治療として、トラスツズマブの安全性と有効性は多数の実績で示されている。本試験では、ABP 980と参照トラスツズマブの生物学的類似性を有効性、安全性、免疫原性の観点から評価し、ABP 980の分析、機能、薬物動態研究を既存のエビデンス総体に追加することを目指した。

トラスツズマブは、HER2過剰発現が確認された乳がん患者に対するゴールドスタンダードの治療法として、多くの国で使用されている。バイオシミラーABP 980は、構造、機能、薬物動態プロファイルにおいて、トラスツズマブと分析上の類似性を示す。この無作為化試験は、手術可能なHER2陽性の早期乳がん患者を対象に、両剤の臨床的類似性、またオリジネーターとバイオシミラーとの切り替えに関する安全性と有効性を評価するために実施された。

登録された患者は3つのグループに分けられ、手術前にローディングドーズと3週間ごとのネオアジュバンとしてABP 980またはトラスツズマブ(化学療法との併用)を3サイクル行い、その後、アジュバントとしてABP 980(第1グループ)またはトラスツズマブ(第2グループ)を投与、またはトラスツズマブからABP 980に3週間ごとに切り替え(第3グループ)、合計1年間にわたって治療を行った。

研究結果

プライマリーエンドポイント(手術時の腫瘍組織の臨床検査に基づく病理学的完全奏効)を達成した患者の割合は、ABP 980群で48%、トラスツズマブ群で41%であった。感度解析の結果、プライマリーエンドポイント達成のリスク差および相対リスクは、事前に定義した同等性マージンの範囲内であった。2つの治療群の有害事象の発生率は、ネオアジュバント期間、アジュバント期間ともに、ほぼ同じであった。さらに、ABP 980からトラスツズマブへの切り替えは安全性に影響を与えず、切り替え群における有害事象の発生率は、アジュバント期間にトラスツズマブの投与を継続した患者と同様であった。中和抗体陽性と判定された患者は、どちらのグループにも存在しなかった。

HER2陽性の早期乳がん患者において、ABP 980とトラスツズマブ参照製品の安全性、有効性、臨床転帰に差異は認められなかった。ネオアジュバント期間とアジュバント期間でも類似性は継続し、トラスツズマブからABP 980への切り替えは、新たなあるいは予想外の安全性シグナルを発生させなかった。

重要なポイント

トラスツズマブは、HER2過剰発現が確認された乳がん患者に対するゴールドスタンダードの治療法として、多くの国で使用されている。バイオシミラーABP 980は、構造、機能、薬物動態プロファイルにおいてトラスツズマブとの分析上の類似性を示し、トラスツズマブからABP 980への切り替えは、新たなあるいは予想外の安全性シグナルを発生させない。

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